ステイホーム時間やリモートワークの増加によって、コンピューターのネットワーク上での音声通話、いわゆる「ボイスチャット」を利用する人が増えています。せっかくならば、より良い音響環境で、周囲に迷惑をかけずにボイスチャットを利用したいですよね。ここでは、ボイスチャットのための防音対策について説明します。
防音対策でボイスチャットがもっと楽しめるようになる!
ボイスチャットをより楽しみたい方は、ぜひ防音対策を施しましょう。ここでは、防音対策のメリットをいくつか紹介します。
雑音が入らなくなる
周囲の雑音によって、ボイスチャットの相手の音声が聞き取りづらい、逆に自分の音声が相手に伝わりにくいといった状態を経験したことはないでしょうか。この状態が続くと、お互いにストレスを感じますし、雰囲気が悪くなってしまうことも。
防音対策をすることで、ボイスチャットを阻害する雑音は減らすことができます。
音漏れを気にしなくてよくなる
ボイスチャットの音声は、なるべく周囲に漏れてほしくないものです。特に深夜の時間帯など、周囲が寝静まった環境では、ボイスチャットの音漏れには注意が必要です。場合によっては家庭内や近隣住民との騒音トラブルにも発展しかねません。防音対策によって音漏れトラブルを未然に防ぎましょう。
ゲームチャットにも有効
オンラインゲーム中にボイスチェックをすると、ゲームに熱中するあまり、つい声を張り上げてしまうことがあります。本人が気づかないうちに、ついついヒートアップしてしまうも。防音対策をしっかりしていれば、声の大きさを気にせず、よりゲームに集中して楽しむことができます。
二つの防音方法
防音対策には二つの考え方があります。「遮音」と「吸音」です。どちらも防音対策において重要ですが、その目的や使用する素材は異なります。効果的な防音対策のためには、どちらか一方ではなく、遮音・吸音の両者を組み合わせることが重要です。
遮音
「遮音」とは、音を遮断することによって、音が壁や床を通って外に伝わること、あるいは外の音の内部への侵入を防ぐことです。つまり、音の透過を防ぐのが目的です。単位面積あたりの質量が大きいコンクリートや鉄板などが、遮音性能の高い素材として使用されています。その他には、石膏ボードに遮音シートを貼るなどの方法も用いられます。
吸音
壁面や床などが硬く平坦な素材で出来ていると、音が反射して反響音となり、聞き取り難くなる、あるいは、不快な残響音として残ってしまいます。そこで防音対策には、遮音に加えて、吸音対策も必要になります。
吸音とは、音のエネルギーを細かく拡散させて熱エネルギーに変えることによって、反響を弱めることです。このように音の反射をコントロールすることが吸音の目的です。なお、吸音で発生する熱エネルギーはごくわずかなので、温度に影響するほどではありません。
ボイスチャットを楽しむための防音対策
ボイスチャットを気兼ねなく楽しむための防音対策には、「ブースを作る」「個室を作る」「防音室を作る」など、防音効果レベル別にいくつかの方法があります。
吸音材で簡易ブースを作る
吸音材には、主に以下の3種類が使われます。
・多孔質型
一般的な吸音材としては、繊維質やスポンジなどの多孔質な素材が使われます。具体的には、グラスウールやウレタンスポンジ、布クロスなどがあげられます。素材表面にある多くの小さな穴や繊維の間に音の振動が入り込み、空気摩擦によって熱に変換され、吸音する仕組みです。
・板振動型
薄い板材などを壁から浮かせて設置することによって、音による空気の振動で板が振動し、振動による板の変形が熱に変わり、吸音する仕組みです。
・共鳴型
たくさんの小さい穴が空いた板(多孔板)を壁に浮かせて設置することで、音による空気の振動が小さい穴から入って板と壁の間の広い空間と共鳴します。すると、小さい穴の周囲の空気が激しく振動し、空気摩擦によって音を熱に変え、吸音します。
吸音材として市販されている製品は、ボード状、ロール状、クロス状、パーティションタイプなどさまざまです。吸音材の多くは軽くて切断しやすいので、DIYにも向いています。ボード状の吸音材を組み合わせて簡易的なブースを作る、あるいは既存の壁に貼るなどして、簡易的な防音空間を作ることも可能です。また間仕切りタイプの吸音パーティションならばそのまま設置して、手軽に簡易ブースを作ることもできます。
防音対策をした個室を作る
しかし、吸音材の簡易ブースでは防音効果は限られてしまいます。より防音性の高い空間作りには、一定の遮音性能もある個室を作るのが良いでしょう。壁や床に遮音効果のあるボードやシートを貼った上に吸音材を貼るのが基本的な防音対策です。
窓や扉にも遮音テープを貼るなどして密閉性を高め、さらに遮音カーテンや遮音ボードなどを組み合わせるとより効果的です。
防音工事をする
もしこれから、自宅の新築、あるいはリフォームを検討しているのなら、防音工事というのも選択肢のひとつです。簡易的な方法としては、組み立て式でユニットタイプの防音ブースを設置する方法もあります。こちらは工事期間も短く、移設も可能です。より高い防音効果を求めるなら、ユニットタイプよりも費用は高くなりますが、オーダーメイドによるビルトインタイプの防音工事がおすすめです。
ボイスチャットにはパソコンが多く使われますが、防音のためにブースを閉じていると、機械が発する熱や、人間の体温で熱がこもりやすくなってしまいます。防音室ならば空調の環境が得られやすく、快適に過ごせるという点もメリットです。
用途や予算に応じた防音対策をして、よりボイスチャットを楽しめる環境を整えましょう。
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