不動産の資産価値を向上させるためにできること

家、マンション、アパートなどの不動産は、建ててから年を経るごとに傷みや不具合が生じ、劣化していきます。貸し出している不動産に空室を作らない、あるいは所有している不動産を少しでも高く売るためには、資産価値を向上させることが必要不可欠です。そのためには、どのようなことをすればよいのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

不動産の資産価値を向上させたほうがよい理由

不動産の資産価値とは、不動産を財産として評価した金額のこと。計算の仕方にはいくつかの方法がありますが、賃貸の場合は、資産価値の高いほうが家賃を高く設定しても借り手がつきますし、売る場合も高価格が期待できます。
これが、不動産の資産価値を向上させたほうがよい大きな理由です。

一般的に資産価値が高い不動産の条件として挙げられるのが「駅に近いこと」「暮らしやすいこと」「防災などの付加価値があること」です。
駅からの近さ、不動産が建っている周辺の環境を変えることは自分たちの手で変えることはできませんが、建物の外観に手を入れたり、内装を変えたりすることは十分にできます。その手段をリフォーム、あるいはリノベーションといい、資産価値を向上させるためには有効です。

リフォームによる資産価値向上

賃貸の不動産に空き部屋を作らず、前の借り主が退去したらすぐに新しい借り手を見つけたい、手持ちの物件をすぐに売りたいなど、短期的な視点で資産価値を向上させたいときには、リフォームが効果的です。ポイントは、ぱっと見たときに、いかにきれいに見せるか。

例えば、壁紙。壁紙は部屋全体の印象を大きく左右します。どんなに使いやすい間取りであっても、生活による汚れが感じられる壁紙では資産価値は下がりますし、誰も住みたいとは思わないはず。あまり汚れていないように見えたとしても、張り替えてきれいにしたほうが気持ちもよいですし、資産価値も上がります。

キッチンや浴室、トイレなどの水回りも、汚れが目立ちやすいところです。それだけでなく、設備の古さも目につきやすいところでもあります。きれいにクリーニングすることはもちろんなのですが、設備が古い場合は、コンロをIH仕様に変更する、ユニットバスをまるごと交換するなどの方法でそれまでの使用感を消し、資産価値も向上させましょう。

もしも可能であれば、建物の外観にも手を加えると印象がよくなり、さらに資産価値が向上します。例えば外壁や屋根の塗装をし直したり、階段や手すりのサビを除去したりということは、検討の価値があります。

リノベーションによる資産価値向上

長い目で資産価値を向上させたいのであれば、リノベーションを検討してみましょう。
リノベーションという言葉にはなじみがない方もいらっしゃるかもしれませんが、リフォームがマイナス要因をなくす対策だとすると、リノベーションは、マイナスをなくすと同時に、さらに手を加えて新たな価値を付加するというイメージです。例えば使いにくい間取りを使いやすく改装したり、閉鎖的なキッチンを対面式に変更したりといったことが該当します。

差別化したリノベーションで資産価値を向上させる

近くに価格も間取りも同じような物件があったとき、資産価値を向上させるためのリノベーションのポイントは、いかに差別化を図るか……です。具体的には、次のようなことを検討してみてください。

壁紙、床材などを張り替える

壁紙や床材の張り替えについてはリフォームでも説明しましたが、もうワンランク上のものに変更することで、資産価値を向上させることができます。例えば、断熱効果のあるものにしたり、防火機能のあるものにしたり、「ここに住みたい」と思ってもらえるようにすることがポイントです。そのためにも、近隣の物件の家賃、設備などもリサーチしてみるとよいでしょう。

設備投資を行う

長い目で見たときには、思い切った設備投資をすることも重要です。
例えばトイレ。今はウォッシュレットを常備することが当たり前になりつつあります。トイレのタイプが古いと、それだけで資産価値を下げてしまうことになりかねません。

取りつけて時間が経過しているエアコンを新しいものに取り換えることも方法です。見た目の印象がとてもよくなりますし、快適に暮らすことができます。
ドアフォンをモニター付きのものに変えることも有効です。最近は通販で物を購入する人も多い時代ですし、不審者対策にもなります。また、インターネットの通信環境を整えるなど、時代に合わせた設備投資もぜひ検討したいところです。

リノベーションで防音室を施工する

リノベーションでは、防音室を施工することもおすすめです。防音室があれば「楽器可」と謳うことができます。「楽器可」の物件は需要が高く、資産価値も下がりにくい点がメリット。すべての部屋を防音室にし、不動産まるごと「ミュージシャン向け物件」「音楽教室ができる物件」として特色を持たせた売り方もできます。

不動産を長く生かすためには、資産価値を向上させることが必要不可欠です。防音室を設置するなど、ほかの物件にはない特色を持たせると、資産価値の向上につながり、強みを持たせることができます。現在の状態に合わせ、リフォームが適切なのかリノベーションまでしたほうが効果的なのか、ぜひ検討してみてください。