入居者から騒音の苦情を受けた場合の対処法

さまざまなライフスタイルの人たちが生活するマンションやアパートなどの賃貸物件におけるトラブルで多いのが、騒音によるものとされています。ひとたび入居者から騒音の苦情が寄せられたら、貸主は放置せずにすみやかに対処し問題を解決しなりません
この記事では、賃貸のマンションやアパートにおける騒音の原因や、貸主が入居者から騒音の苦情を受けた場合の対処法を説明します。

マンションやアパートで苦情につながりやすい騒音の原因

マンションやアパートにおける騒音の原因はさまざまありますが、多くは、生活音によるものです。

音の大きさはdb(デシベル)という単位で表示されます。音の感じ方は人によって異なりますが、一般的に、日常生活の中で気にならない音のレベルは45db以下で、60dbを超えると「うるさい」と感じるようになり、80dbを超えると「極めてうるさい」と感じると言われています。
人の話し声も、日常的な会話だと60db程度に収まりますが、大声になると80dbを超えてきます。壁や床、天井を隔てるとはいえ、大声でケンカをしたり、演技や歌の練習をしたりといったことがあると、部屋の周辺住民から苦情は起こりえると考えられます。
犬の鳴き声はさらに90dbも超えてきます。また、テレビ、洗濯機、掃除機などの音でも、機器や使い方によっては大きな音となり、人によっては気にされることもあるでしょう。楽器演奏などももちろんそうです。

他にもドアや窓の開閉音など、注意をしないと大きな音を出してしまいます。生活騒音は非常に身近にあるものです。生活空間が密集したマンションやアパートでは、住民同士のトラブルに発展しやすいのも当然といえるのではないでしょうか。

騒音の苦情に対応する際の注意点

騒音による苦情を住民から受けたら、貸主はその対処にあたらなければなりません。貸主は、賃料を受け取る対価として、入居者に良好な住環境を提供しなければならないと法律で定められています。

これは、民法601条の「使用収益させる義務」にあたります。「使用収益」とは、「物を直接利活用して利益・利便を得る」ことです。住民にとっての利益・利便が騒音によって阻害されるならば、貸主の責任でそれを除去しなければなりません。

また、騒音によるトラブルを放置すると、入居者が退去を希望してしまう可能性がありますし、場合によっては被害を受けた住民から精神的被害や引っ越し費用などの損害賠償を請求されるケースもあり、迅速な対応が求められます。

騒音の苦情を受けた場合の対処法

それでは、騒音への苦情には、具体的にどのように対処すべきなのでしょうか。

まずは、近隣住民へのヒアリングなどによって情報を集め、しっかりと騒音の実態を確認することが重要です。その上で、掲示板やポストへの投函によって、入居者全員に騒音の苦情が出たことの周知と注意喚起をします。それでも効果がないようなら、騒音を出している本人に直接注意を促します。

複数回にわたる注意にも関わらず状況が改善しないようならば、法的措置によって騒音主を強制退去させることを検討しましょう。法的措置を取る際に重要なのが、賃貸借契約書に「騒音に関する記載」があることと、「内容証明郵便」による勧告を騒音主にすることです。

「騒音に関する記載」とは、例えば「騒音によって近隣に迷惑をかける行為」を禁止する事項です。借主にも、賃貸借契約書に定められた用法に従って、目的物(物件)を使用しなければならない「用法遵守義務」が法律で定められています。

「内容証明郵便」とは、書面に記載された内容や、発送日、受取日などが郵便局に記録として残る郵便の制度です。裁判では、事前に騒音主に勧告したにも関わらず、受け入れられなかったことの証明になります。裁判所に提訴し、貸主が勝訴すれば、騒音主を強制的に退去させることができます。

このように、法的措置には多大なエネルギーと時間、費用をかけることになります。騒音トラブルをなるべく未然に防きたいのであれば、物件の防音性を高めることが一番だといえるでしょう。

より簡単な方法としては、窓に防音カーテン取り付けることや、床に防音マットを敷くことで室内へ音や振動が伝わりにくくなり、ある程度の騒音は軽減することが可能です。しっかりと防音性能を高めたいのであれば、防音工事を行い、防音性の優れた素材を壁や床に使用することをおすすめします。騒音問題に悩んでいるのであれば、ぜひ検討してみてください。

入居者から騒音の苦情を受けたら、適切に対処しましょう。時には法的措置も辞さない覚悟が必要です。しかし、あらかじめ防音対策を講じれば、騒音トラブルを未然に防げる可能性があります。特にしっかりとした楽器演奏用の防音工事をご検討の場合は、高橋建設にご相談ください。
また、騒音トラブルを起こす入居者を退去させられるかどうかについては、「賃貸物件で騒音トラブルを起こす入居者を退去させることは可能?」で詳しく説明しております。ぜひこちらもご覧ください。

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